福島は会津若松より約30分の会津坂下(ばんげ)にある曙酒造。今期の造りで6年目、昨年の福島県春季鑑評会でも知事賞(首席)を取ったり、NHKに出演したり(笑)でますます大活躍の若き蔵元杜氏、鈴木孝市くん主導の下、特にここ数年は地元である「坂下産」にシフトを深め、より米の味を表現する酒へと進化を続けています。
今回発売のこのお酒は孝市くんの四年目の山廃生原酒を、こだま独自の温度管理を経て熟成をさせました。穏やかな香りに、柔らかな酸が透明感のある旨味とバランスします。ちょっと尖り気味だった酸も時を経て柔らかくなりました。どこか洋酒を思わせる熟成感も天明ならではの葡萄系のニュアンスの延長にありなかなか個性的。
どっしり旨いゴツイ系の山廃ではなく、軽やかさの中に広がる透明感と品のいい深みをじっくりお楽しみください。お勧めはやはり常温からお燗、しみじみ盃が進む酒に育ちました。