ご縁をいただいてから6年。専務で杜氏の大沼秀和さんのユニークなキャラとその穏やかな酒質は酒中酒として素晴らしくずっと気にしてはいたのですが、ついに一昨年、僕の心を捉えてくれて取引が始まりました。
「すっきりしながらきちんと旨い」そのバランスが素晴らしいお酒。あえて言うと地味な酒ですがそれがまたいい。どんな料理でも黙って寄り添い優しく合わせてくれます。
そんな若乃井より秋酒が届きました。穏やかな香りとスッキリした口当たりでサラリと飲めますが今期は落ち着いた米の旨みが柔らかく感じられ、そのコクを彩る爽やかなオレンジ系の酸とのバランスが印象的です。程よい厚みのある旨み、飲んだ後の余韻が心地よいです。秋酒らしい旨みの酒ですが決して押しつけがましくないバランスが「らしさ」。冷酒もいいですが秋肴と一緒に常温からお燗でゆるゆる飲んでいただけるとこのお酒のよさが生きると思います。