日本酒造りの原型とも言える「菩提(ぼだい)もと」は、平安時代中期~室町時代に奈良県の菩提山正暦寺を中心に栄えた造り方でしたが、昭和初期には、「生もと(きもと)」造りに取って代わられ次第に廃れていきました。
その途絶えてしまった菩提もと造りは、1980年初頭に辻本店「御前酒」先代杜氏・原田巧氏によって「日本山海名産圖會(日本山海名産図会)」を紐解き製造を試みました。その後、岡山県工業技術センターの協力のもと、甘酒四段仕込み方法により1986年菩提もとにごり酒の商品化に成功しました。
現在、日本国内の酒造好適米2大ブランドである「山田錦」「雄町」のうち、岡山県では雄町米を95%生産する一大産地です。その雄町が誕生した1859年にとかけて、辻本店では「御前酒 1859 菩提もと純米」をメインブランドとして発売しています。
菩提もと由来の力強く、複雑で骨格のある酸が特徴のお酒です。現代の多様な食にも合わせられる懐の深さもあります。綺麗で上品な酒質とは異なる複雑さがありますので、揚げ物や中華、イタリアンといった油分、酸味のある料理にも合わせることができます。
古来の製法が現代で蘇り、複雑さと現代的な洗練された部分を持ち合わせていますので、他にない特徴的なお酒と言えるでしょう。ぜひ、この機会に味わいって頂きたいお酒です。